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玉手箱 - 言語 - 趣旨を判断する問題

問題

以下の本文を読んで、設問文1つ1つについてA・B・Cのいずれに当てはまるかを答えなさい。

[A] 筆者が一番訴えたいことが述べられている。
[B] 本文に書かれているが、一番訴えたいことではない。
[C] この本文とは関係ないことが書かれている。

本文

 日本人は「うら」という観念に対して、アンビバレンツ(両極的)なイメージを抱きつつ、特有な心情をつくりあげたように思われる。日本列島の日本海側を「裏日本」と呼ぶことを侮蔑のように受けとりながら、天皇の住居を、「内裏」というように、である。「裏」、すなわち見えないもの、かくれたものをいとわしく思いつつ、一方でそちらを重視し、ものごとの本質と考え、畏敬さえするのだ。だから、おもて=顔に対して、見えない心をうらといい、おもてよりうらに価値を置くのである。うら(裏)から転じたと思われる「浦」を思い描いてみるとよい。前にもふれたが、優しく美しい山河にめぐまれた日本列島のなかで、古来、日本人がこの上なく愛したのは、あの日本三景に代表される浦(内海・入江・湾)の風景ではないか。 日本人の美感とは、うらの美学といってもいいのである。『新古今集』に収められている藤原定家のつぎの一首が日本の美学の本質とされるゆえんである。

見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕ぐれ

 ところで、西欧の人たちも、見えざるもの、かくれているものに対しては、畏怖や不安を感じている。だが、彼らは見えないもの、かくれたものについてのそのような不安を克服しようと、いうなら、うらをおもてへ引き出す努力を不断につづけてきた。ヨーロッパが育てあげた科学はまさしく、そのような精神の軌跡にほかならない。科学とは、裏を表にする作業なのである。
 そのようなヨーロッパ人に対して、日本人はすべてのものごとに「裏」を見ながら、「裏」をつきとめようとはしなかった。「裏」を「裏」として、ただ承認しただけだった。それどころか、「裏」を「表」にかえしたり、「表」を「裏返し」たりすることは、けっして好ましいことではないと信じてきたのだ。日本人の“おぼろの美学”が何よりもそれを証言している。日本人はあからさまなことをきらい、ものごとをあきらかにすることをあきらめるという形で、断念するの意へと転化させてしまった。なぜなら、ものごとがあきらかになれば、そこにはもう「裏」はなく、何の価値もなくなってしまうからである。日本人はそれを白々しいともいった。白々しいとは、本来はものごとが明白であるこ とを意味したのだが、白々しいことを日本人はけっして好まず、味気ないものと感じたのである。最近、よく使われるようになった「白ける」という表現も、その間の消息をよく 語っている。ことが明白になれば、不安や怖れはなくなるであろうが、同時に期待は失われ夢もまた消えるからである。『花伝書』につたえられている世阿弥の有名な「秘すれば花なり」という言葉も、日本人の美学を端的にいいあらわしたものといてもよい。

(出典:裁判所事務官・家庭裁判所調査官 平成21年度)

(1)
藤原定家の歌にみられる美学と世阿弥の「秘すれば花なり」の美学は、それぞれ独自の美学であるが、いずれも裏に価値を置いている。
(2)
藤原定家は当時の裏の美学の第一人者であった。
(3)
日本人は、表にあらわれない事物の裏そのものを隠れたものとしてそこに二面性などを感じたりしながらも、その裏の精神に美や本質を見た。
(4)
ヨーロッパが育てあげた科学は裏の美学を表に引き出すためのものであった。




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